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愛と結婚 イギリス小説の場合

神山 妙子 編

何等かの形で愛が語られていない小説は稀であるのみならず、その多くのものが愛を中心課題としていることは周知の事実である。イギリス小説の場合もその例に洩れない。本書に収録された十八世紀から現代に至る代表的な作家の作品において、愛は様々な角度から取りあげられている。

【主要目次】

【書評】

評者:五代 徹 (「第三文明 1990年4月号」より)

この本は、どうやら若い女性、特に女子大生などを読者対象にしてつくられた本のようである。十八世紀の作家サミュエル・リチャードソンから始まって、ジェイン・オースティン、シャーロット・ブロンテ、ジェイムズ・ジョイス、D・H・ロレンス、そして、新しいところでは、グレアム・グリーン、アイリス・マードックまでの十三人のイギリスの作家たち(女流作家が六人、男性作家が七人)を俎上に載せている。

すべて、「愛と結婚」というテーマで、微妙な男女の心の襞に迫っている。  時代が異なることで、作家の雰囲気も登場人物の雰囲気も、がらりと変わる。同時代の人であれば大概、想像がついてしまう。若い女性が自分と違ったタイプの異性を真剣に考えるということになると、やはり時代も異なった、ひょっとしたら理解できないのではないかと思われるような時代の人に会うのがいい経験になる。また見も知らぬ異性とのことについて考えるには、こうした読み物がお勧めである。