28 源氏物語の構成はどうなっているか
『源氏物語の謎』増淵勝一 著 - 国研ウェブ文庫
『源氏物語』は全五十四帖から成りますが、ストーリーに即して、その構成を鳥瞰してみると、以下のようになります。
- Ⅰ「桐壺」の巻~「幻」の巻まで(正編四十一帖) 光源氏の生誕から紫の上の喪にこもる五十二歳の歳暮までを描く。
- Ⅱ「匂宮」「紅梅」「竹河」の三巻(後編四十二~四十四帖) 源氏薨後の源家一家(匂宮)・故太政大臣(頭中将)の次男の按察大納言家(紅梅)・故太政大臣髭黒の夫人玉鬘一家(竹河)の近況や、特に源氏の外孫である匂宮と源氏の義子である薫との生い立ちを、薫を主人公に語る。
- Ⅲ「橋姫」~「夢浮橋」の、いわゆる「宇治十帖」(続編四十五~五十四帖) 宇治八の宮の姫君たち、大君・中君・浮舟らを女主人公として、薫と匂宮との性格の対照と、恋愛における両者の葛藤、二人にはさまれた浮舟の出家等が描かれている。
もっともⅠの正編が全体の分量からいうと、長編すぎるので、
- ⅠのA 「桐壺」から「明石」の巻までの十三帖 光源氏生誕から、右大臣家の朧月夜との密会露見で、須磨・明石に流寓するまでを描く。
- ⅠのB 「澪標」から「藤裏葉」の巻までの二十帖 源氏の召還から、源氏の子である冷泉院の即位、源氏はついに太上天皇にのぼり、六条院と号するまでを語る。
- ⅠのC 「若菜上」から「幻」の巻までの八帖 四十歳の六条院に女三の宮が降嫁。柏木と宮との密通・薫誕生、紫の上の死去・光源氏が紫の上を追憶しつつ、五十二歳の年の暮れを迎えるまでを述べる。
と、分けて、全編を五部構成で考えると、この物語をいっそう理解しやすくなるでしょう。
作成日:2013年6月8日
『源氏物語の謎』増淵勝一 著 目次
- 『源氏物語』はいつ書かれたか
- 『源氏物語』はどんな物語か
- 『源氏物語』の巻名はだれがつけたものか
- 『源氏物語』の時代設定はいつか
- 光源氏に愛された女性の中で、一番しあわせだったのはだれか
- 『源氏物語』の伝本にはどんなものがあるか
- 『源氏物語』の三大滑稽人物とはだれか?
- 『源氏物語』という書名ははじめから付けられていたものか?
- 『源氏物語』の「もののあはれ」とは何か?
- 紫式部の名の由来は?
- 光源氏はなぜ義母の藤壺を思慕したのか。
- 「桐壺」とは何か
- 「雨夜の品定め」とは何か
- 「帚木」とは何か
- 『源氏物語』の三箇(さんか)の大事(だいじ)とは何か
- 紫式部堕獄(だごく)説とは何か
- 『源氏物語』は古人にどう評価されたか。
- 紫式部はどういう生涯を送ったか
- 登場人物の名づけ親は誰か
- 源氏物語の文章の「すべらかし」調とは?
- 光源氏の「二条院」はどこにあったか
- 源氏物語に描かれた結婚形態とは
- 「紅葉賀(もみじのが)」とは何か
- 源氏物語に近親結婚が多いのはなぜか
- 結婚を拒否する女性
- 光源氏はどんな容貌・容姿であったか
- 源氏物語の遺跡にはどんなものがあるか
- 源氏物語の構成はどうなっているか
- 乳母(めのと)とは何か
- 源氏物語には何首の和歌があるか。
- 「総角」巻の巻名の由来は何か。
- 光源氏はなぜ須磨に籠居したのか。
- 「夢浮橋」の巻名の由来は何か
- 光源氏の経済的基盤はどこにあったか(1)
- 弘徽殿の大后のモデルは誰か
- 桐壺の更衣のモデルは誰か
- 紫式部観音化身説とは?
- 光源氏の経済的基盤はどこにあったか(2)
- 源氏物語』の登場人物は何人ぐらいいるか?
- 『源氏物語』に登場する敵役(かたきやく)
- 主な女君たちの命日
- 平安貴族の住居はどんなものであったか
- 宇治の八の宮は二人の姫君を残してなぜ出家を目指すことができたか
- 源氏物語が長い間読まれつづけているのはなぜか
- 『源氏物語』の最も古い注釈書とは
- 「かがやく日の宮」巻とは何か
- 「澪標」の巻名の由来は?
- 『源氏物語』に描かれた病気
- 紫式部の教養
- 古注の集大成―『河海抄』
- 世界文学史上の『源氏物語』
- 紫式部の学問観
- 光源氏薨後の夫人たちの生活は?
- 物怪(もののけ)とは何か
- 「宿木(やどりぎ)」とは?
- 女君たちの魅力は?
- 六条院とはどんな邸宅であったか
- 女三の宮と柏木との関係を知った光源氏はどう対処したか?
- 紫式部の住居はどこにあったか?
- 作り物語の『源氏物語』に実在の人物が登場するのはなぜか?
- 紫式部と藤原道長の関係について
- 源氏物語に及ぼした伊勢物語の影響
- 「鈴虫」の巻名の由来は?
- 「侍従」という女房の役割は何か
- 光源氏が一番美人だと認めていた女君は誰か
- 紫式部の墓はどこにあるか
- 「雲隠」の巻は原作にあったのか
- 男君たちの魅力は
- 源氏物語に見える音楽
- 年立ての矛盾
- 各巻のあらすじ(1)桐壺・帚木
- 女君を選ぶとしたら?
- 各巻のあらすじ(2)空蝉・夕顔
- 『源氏物語』の続編(1)―『山路の露』―
- 各巻のあらすじ(3)若紫・末摘花
- 『源氏物語奥入(おくいり)』とは
- 源氏香とは何か
- 平安時代の風呂はどんなものであったか
- 牛車(ぎっしゃ)とは何か
- 貴族の日常生活はどういうものであったか
- 源氏物語にはなぜ大災害が描かれていないのか
- 源氏物語にあらわれた宿世観
- 源氏物語に登場する僧侶
- 『源氏物語』の主役の条件
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