73 各巻のあらすじ(2)空蝉・夕顔
『源氏物語の謎』増淵勝一 著 - 国研ウェブ文庫
3 空蝉(うつせみ)
源氏十七歳の夏。源氏はこりずまに空蝉の弟の小君に案内させて紀伊守邸に忍び込む。空蝉は継娘の軒端荻(のきばのおぎ)と碁を打っていた。やがて母娘は同室で就寝していたところへ、源氏が忍び込むと、空蝉は小袿を脱ぎすべして逃げてしまう。源氏はやむなくその継娘の軒端荻と一夜を明かし、空蝉の小袿をひそかに持ち帰り、恨みを述べた歌を小君に持たせた。
4 夕顔(ゆうがお)
源氏十七歳夏~十月。源氏が六条京極の前東宮妃に忍び通っていたころ、五条辺りの大弐の乳母(惟光の母)の病(やまい)を見舞った。このとき隣家の板べいに夕顔の花が白く咲くのを見て、一枝所望したところから、和歌の贈答となり、当家の女(夕顔)のもとに乳母子惟光の手引きで通うことになった。たまたま中秋名月の暁に周囲の騒々しさを逃れて、女を近くの廃院に誘った。ここで静かに語り暮して、夜臥すと、貴女姿の物怪(もののけ)が現われ、女を取り殺した。源氏は悲嘆し、葬送後、重くわずらう。女の侍女の右近の話で、この女が雨夜の品定めで聞いた頭中将の愛人で、本妻に追われて姿を隠していたことを知った。その形見の遺児(玉鬘)を源氏は引き取ろうと思うが、乳母たちがやかましいので、夕顔の宿に事情を知らせることもできない。一方、軒端の荻は少将を聟にとった。また空蝉は老夫の伊予介と十月に任国に下ることになった。空蝉には櫛や扇を餞別に贈り、あの夜持ち帰った小袿も、歌を添えて返した。
『源氏物語の謎』増淵勝一 著 目次
- 『源氏物語』はいつ書かれたか
- 『源氏物語』はどんな物語か
- 『源氏物語』の巻名はだれがつけたものか
- 『源氏物語』の時代設定はいつか
- 光源氏に愛された女性の中で、一番しあわせだったのはだれか
- 『源氏物語』の伝本にはどんなものがあるか
- 『源氏物語』の三大滑稽人物とはだれか?
- 『源氏物語』という書名ははじめから付けられていたものか?
- 『源氏物語』の「もののあはれ」とは何か?
- 紫式部の名の由来は?
- 光源氏はなぜ義母の藤壺を思慕したのか。
- 「桐壺」とは何か
- 「雨夜の品定め」とは何か
- 「帚木」とは何か
- 『源氏物語』の三箇(さんか)の大事(だいじ)とは何か
- 紫式部堕獄(だごく)説とは何か
- 『源氏物語』は古人にどう評価されたか。
- 紫式部はどういう生涯を送ったか
- 登場人物の名づけ親は誰か
- 源氏物語の文章の「すべらかし」調とは?
- 光源氏の「二条院」はどこにあったか
- 源氏物語に描かれた結婚形態とは
- 「紅葉賀(もみじのが)」とは何か
- 源氏物語に近親結婚が多いのはなぜか
- 結婚を拒否する女性
- 光源氏はどんな容貌・容姿であったか
- 源氏物語の遺跡にはどんなものがあるか
- 源氏物語の構成はどうなっているか
- 乳母(めのと)とは何か
- 源氏物語には何首の和歌があるか。
- 「総角」巻の巻名の由来は何か。
- 光源氏はなぜ須磨に籠居したのか。
- 「夢浮橋」の巻名の由来は何か
- 光源氏の経済的基盤はどこにあったか(1)
- 弘徽殿の大后のモデルは誰か
- 桐壺の更衣のモデルは誰か
- 紫式部観音化身説とは?
- 光源氏の経済的基盤はどこにあったか(2)
- 源氏物語』の登場人物は何人ぐらいいるか?
- 『源氏物語』に登場する敵役(かたきやく)
- 主な女君たちの命日
- 平安貴族の住居はどんなものであったか
- 宇治の八の宮は二人の姫君を残してなぜ出家を目指すことができたか
- 源氏物語が長い間読まれつづけているのはなぜか
- 『源氏物語』の最も古い注釈書とは
- 「かがやく日の宮」巻とは何か
- 「澪標」の巻名の由来は?
- 『源氏物語』に描かれた病気
- 紫式部の教養
- 古注の集大成―『河海抄』
- 世界文学史上の『源氏物語』
- 紫式部の学問観
- 光源氏薨後の夫人たちの生活は?
- 物怪(もののけ)とは何か
- 「宿木(やどりぎ)」とは?
- 女君たちの魅力は?
- 六条院とはどんな邸宅であったか
- 女三の宮と柏木との関係を知った光源氏はどう対処したか?
- 紫式部の住居はどこにあったか?
- 作り物語の『源氏物語』に実在の人物が登場するのはなぜか?
- 紫式部と藤原道長の関係について
- 源氏物語に及ぼした伊勢物語の影響
- 「鈴虫」の巻名の由来は?
- 「侍従」という女房の役割は何か
- 光源氏が一番美人だと認めていた女君は誰か
- 紫式部の墓はどこにあるか
- 「雲隠」の巻は原作にあったのか
- 男君たちの魅力は
- 源氏物語に見える音楽
- 年立ての矛盾
- 各巻のあらすじ(1)桐壺・帚木
- 女君を選ぶとしたら?
- 各巻のあらすじ(2)空蝉・夕顔
- 『源氏物語』の続編(1)―『山路の露』―
- 各巻のあらすじ(3)若紫・末摘花
- 『源氏物語奥入(おくいり)』とは
- 源氏香とは何か
- 平安時代の風呂はどんなものであったか
- 牛車(ぎっしゃ)とは何か
- 貴族の日常生活はどういうものであったか
- 源氏物語にはなぜ大災害が描かれていないのか
- 源氏物語にあらわれた宿世観
- 源氏物語に登場する僧侶
- 『源氏物語』の主役の条件
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